本名は小松守 梓(コマツガミ アズサ)。
久坂みちるの““機関””世界における第1期主人公(1期とは)。清く正しく美しく、強く気高く容赦ない女性版アシタカ。
天帝にすら重用される程、代々優れた先天呪術能力者を輩出してきた呪術界の名家・小松守家の中でもとりわけ強い力を持って生まれた。婿養子である昇華者の父親には次代家長として相当喜ばれたが、当時の家長であったサエグサの祖父は時流などを踏まえ「呪術の名家」の廃業を考えており、サエグサのような強い先天能力者を次代家長に据えることには否定的であった。
しかし、能力を持って生まれたのであれば、その使い方を知らねば無闇に人を傷つける結果になると考え、同じ先天の呪術師としてサエグサの師となり、彼女に自身の持てる知識や哲学の全てを叩き込んだ。
サエグサが9歳の頃に弟(北斗と名付けられる)が生まれたが、この弟が無能力者であったため、サエグサの父は昇華者である自身の限界をそこに見て絶望し、次第に狂っていく。一方のサエグサは、祖父に促されて初めて抱いた弟の温かさに、自身を政略の道具としてしか見ない父からも、その父のみに目を向けてこちらをまるで顧みない母からも与えられなかった愛を見出し、何があっても弟を守り抜くということを密かに誓う。
サエグサが15歳、弟が数え年で7歳となる年、弟を次代家長とすることが正式に決定される前日に父が発狂、弟を抹殺せんとする父を祖父が迎え撃つも、高齢故の衰えと父の狂気的な執念の為に敗北。だがその間に、呪術界において最難・最高峰であり、小松守家にのみ代々伝わってきた結界呪術「梓弓」を未完成ながらも弟へ捧げたサエグサは、父と対峙し右肘より先を失うが辛くも勝利する。
自分が家に残ると父の醜業が世に広く知られてしまう可能性があった為、父の尊厳と弟を守るために「全て我が業」として全ての罪を被ることを母へ宣言して姿をくらます。
その後一年間、時に道端で易者をするなどして路銀を稼ぎながら見聞を広め、かつて祖父より聞いていた「滅びゆく呪術界における最後の健全なる砦」たる““機関””の門を叩く。
祖父の教育の賜物か、自身の持つ力を「陰のもの」と考えている節があり、能力を持たずして生まれた「光のもとを歩いていける」人々の盾となることを自身の信条、存在理由としている。それゆえ自身の肉体に頓着がなく、能力の行使によって失われていくことを寧ろ「救えた命・奪った命の重さに比べると代償としては随分軽い」と捉えていたり、能力を残してしまう可能性がある為に自身の後胤を残すことに否定的であったり、時に人間味を喪失しているような振る舞いや考え方をする。
尤も、呪術師は皆それなりに人間味を喪失しているので、なにもサエグサ個人に限った話ではない。
義肢は実戦用の重装、日常使いの軽装、精密作業用など、用途にあわせて使い分けている。実戦用のフル装備(超高級呪術の長時間使役に耐え得るオーバーテクノロジー気味の義肢)ともなると装着した際の総重量が200kg前後となる為、移動にも一苦労。義肢のメンテナンスは研究部門技術部隊整備班義体係のバリー・ナオザトが担当。このナオザト、現在は29歳なのだが、27歳でサエグサの専属になって以来ずっとサエグサに求婚している。サエグサは求婚については上手く躱しながらも、ナオザトという人間には全幅の信頼を寄せている。
余暇があれば基本的に呪術の研究をしており、自身の部屋を宿舎に持つ他に、アトリエとして汗牛充棟の一軒家を所有している。
呪術の研究以外には、義手の使役訓練のために始めたピアノの演奏を趣味としているが、完全な演奏をする為には右腕に精密作業用の義手を装着する必要があり、人前において披露する機会はあまりない。
和菓子、特にさつまいもを使用したもの、ことさら大学芋が好きで、大学芋のこととなると目の色が変わる。
現在は実践呪術班より追跡部隊に派遣されており、メイファ・ミカ両名と共に任務に当たることが多い。
一人称は「私」
二人称は「貴殿」「貴女」など。